勝つこと。
練習試合だろうがリーグ戦だろうが勝つ。相手が強かろうが弱かろうが関係ない。勝つ。
選手ではない俺が、今年常に意識してきたことだ。
日本一に憧れて、俺でもその力になれると思ってトレーナーとして入部したが現実は甘くなかった。
同期の選手たちが毎日うまくなっているのに、俺らは覚えた仕事の繰り返し。自発的に何かしようとしたが知識も何もなくて立っていることしかできなかった。
何の役に立っているのだろう。
同じことを思ったのだろうか、トレーナーの同期は選手になるか辞めるかして、ついに俺だけになっていた。
学年が上がるにつれてできる仕事の範囲も広がったがチームに貢献できているかどうかわからないままだった。
16KUL最終戦。
ベンチに入れてもらえず、応援席で敗戦を見届けた。負けた悔しさよりも自分が未だ何もしていないということが不甲斐なかった。
スタッフは点を取るわけではないとか、直接勝利に貢献するわけではないとかいうことをよく耳にする。それは事実だ。それを言い訳にして漠然とあと1年過ごすのは嫌だ。
このままではいけない。終われない。
その日から考えを変えた。
決められた仕事を完璧にこなすことがチームの勝利に貢献するのではない。
勝利に必要なことやるのが俺の仕事だ。もっと勝つことにこだわろう。
フィールドに立つことのない俺だからこそ、見えるものがあるはずだ。
それからトレーナー組織の取り組みを全て1から見直した。
技術面でも体力面でも京大に優る相手に勝つためにはどうすればいいのか。
今年の俺の言動は全てそこに集約されている。
専門とする栄養面、トレーニング関連、コンディショニングだけでなく、練習や試合中のプレーについても選手達に干渉してきた。
練習試合の質を上げるために審判活動も積極的に行った。
勝利に繋がると判断したことは何でもやった。
口うるさかったかもしれないなと、我ながら思うこともあった。3年間何の役にも立てなかった俺の言うことに耳を貸してくれたみんな、本当にありがとう。
17KULとしてのシーズンも佳境に入った。
絶対的王者FALCONS戦を目前に控えても思うことは同じ。
勝つ。
この試合で勝っても負けても俺ら4回生は引退する。
それなら、勝ちたい。勝ちにいこう。
何度も逆境を乗り越え勝利してきた17KULならできると信じている。
FALCONSに勝利しKULの歴史を超越するその瞬間まで戦い抜け。